先日、中川区内で小さな製造業を営む方から相談を受けました。「うちのホームページ、3年前に作ったきり誰も触っていないんです」とのことでした。実際に画面を開いて確認すると、電話番号は2つ前のものが載ったままで、代表挨拶の写真も先代の社長さんのものでした。さらに詳しく話を伺うと、ホームページの問い合わせフォームには過去に何件か連絡が届いていたものの、担当者が退職して以降、誰もフォームの受信箱を確認していなかったことが分かりました。つまり、届いていたはずの引き合いに気づかないまま、先方が別の業者に発注していた可能性が高い状態だったのです。ホームページを作ること自体は間違っていなかったのですが、公開後に何が起きるかを想定していなかったために、こういう状態になってしまったケースでした。
私は中川区を拠点に、ホームページ制作や業務システム制作をひとりで請け負っているエンジニアです。これまで相談を受けてきた「小さな会社のホームページ」にまつわる失敗には、いくつか共通点があります。今回はそのうち、特に多いと感じる2つのケースと、自分がどう手を動かして対応したかをお話しします。

失敗談1:名刺代わりに作って、そのまま放置
更新の担当者を決めずに公開したホームページは、ほぼ確実に情報が古くなります。冒頭のケースでも、住所変更や電話番号の変更、サービス内容の追加といった当たり前の更新が数年分抜け落ちていました。私はまず、載っている情報を一つひとつ現状と照合する作業から始めました。電話番号、住所、扱っている製品名、代表者の名前と写真、それぞれ「今のものと合っているか」を確認するだけで、修正すべき箇所が10か所以上見つかりました。
次に行ったのは、依頼者ご自身が文章や写真を差し替えられる仕組みを組み込む作業です。専門知識がなくても直せる状態にしておかないと、また同じことが起きてしまうと考えたためです。管理画面の使い方は、実際にその場で一緒に操作してもらいながら説明し、「電話番号を変えるときはこのボタンを押す」というレベルまで具体的に確認してもらいました。結果として、放置されていた問い合わせフォームも毎週確認する運用に変え、今後は届いた連絡を見落とさない体制にしています。作って終わりにしないためには、こうした引き渡しの部分こそ丁寧にやる必要があると感じています。

失敗談2:ホームページがないまま、担当者交代で見つけてもらえなかった
もう一つ、これは相談を受けた際にご本人から聞いた話です。長年、口コミと紹介だけで仕事を回してきた小さな会社で、取引先の担当者が若い世代に代わったタイミングで、連絡が途絶えかけたということでした。新しい担当者は発注先を探すときにまず社名で検索する習慣があり、その会社にはホームページがなく、検索結果に出てくるのは古い業界名簿くらいだったそうです。新しい担当者はその名簿に載っていた電話番号にかけてみたものの数日つながらず、別の業者への発注をほぼ決めかけていました。たまたま先方の古い知人がその会社を覚えていて仲を取り持ってくれたことで発注は継続されましたが、本人いわく「本当に危なかった」とのことでした。
この話を聞いて、私はまず一緒にその場でパソコンを開き、実際にその会社名を検索してみました。表示される情報が古い名簿と地図情報だけで、営業しているかどうかを確認できる材料が何もないことを、ご本人にも画面で確認していただきました。そのうえで、最低限「今も営業していること」と「連絡先」が分かる状態を作ることを優先し、まずは1ページだけのシンプルな構成で公開することを提案しました。作り込みよりも、まず存在確認ができる状態を先に作ることが大事だと考えたためです。
ご自身でもできる確認方法
- スマートフォンでご自身の会社名を検索し、1ページ目に何が表示されるかを見てみてください。
- 表示された情報の電話番号や住所が、今の情報と合っているかを確認してください。
- 会社のホームページが表示されない場合、代わりに何が表示されているか(古い名簿、地図情報、何も出ないなど)を確認してください。
この3つを確認するだけでも、次に手を付けるべき優先順位が見えてきます。

「見つけてもらえる状態」を保つために行っている作業
ホームページは公開して終わりではなく、公開後も検索結果に反映され続けるように手を入れる前提で作る必要があります。私が制作時に行っている作業は、特別なことではありません。ページのタイトルやページごとの見出しに、実際にお客様が検索しそうな言葉(会社名、業種名、地域名の組み合わせなど)が入っているかを確認し、抜けていれば調整します。あわせて、更新した日付が分かる状態にしておき、情報が古いまま止まっていないことが検索エンジンにも伝わるようにしています。
こうした作業は一度やれば終わりというものではなく、サービス内容の追加や事例の紹介など、更新のたびに少しずつ積み重ねていくものだと考えています。小さな会社ほど、この「保ち続ける」部分の担当者が決まっていないケースが多いというのが、相談を受けてきた中での実感です。
ホームページの必要性を判断する基準
紹介や口コミだけで仕事が回っている間は、なくても困らないことが多いです。判断の基準として、次のような状況に当てはまるかどうかを確認してみてください。
- 取引先の担当者が代わる可能性がある(先代から後継者、担当者の異動など)
- 新規のお客様や取引先から、初めて連絡をもらう機会がある
- 会社名で検索されたときに、実在や営業状況を確認する手段がない
先ほどの失敗談2の会社も、まさにこの1つ目に当てはまっていたケースでした。担当者交代は自社側でコントロールできない出来事ですが、それに備えられるかどうかは自社の準備次第です。1つでも当てはまる場合は、検索されたときに何も出てこない状態が、実在確認の段階で不利に働く可能性があります。ホームページは、規模の大小にかかわらず、信用を確認してもらうための最低限の窓口として機能すると考えています。
費用の考え方 — 私がどう見積もるか
内容によって幅がありますが、名刺代わりの数ページ構成であれば数十万円台、問い合わせフォームや更新の仕組みまで含めると、それ以上になることが一般的な相場感です。私が見積もりを立てる際は、まず「公開後、誰が何をどのくらいの頻度で更新するのか」を最初に確認します。更新する人がいない、または更新頻度が低い場合は、最初から機能を増やしすぎず、必要なページ数と最低限の更新機能に絞って小さく始めることを勧めることが多いです。後から機能を追加できる構成にしておけば、最初の投資を抑えつつ、必要になったタイミングで育てていくことができます。
制作会社を選ぶときに見るべき判断軸
以前、別の相談者から聞いた話ですが、価格の安さだけで制作会社を決めたところ、納品後に「更新は自分でできます」と言われたものの実際には専門的な操作が必要で、結局誰も触れないまま数年が過ぎてしまったということがありました。その方は最終的に、一から作り直す前提で私に相談に来られました。契約前にどれだけ具体的な説明を受けられたかで、公開後の運用が大きく変わることを実感した出来事でした。制作会社を選ぶ際は、次の点を確認してみてください。
- 公開後、誰が・どうやって更新するのかを、契約前に具体的に聞いてみてください。「更新は簡単です」という説明だけでなく、実際の操作画面を見せてもらうと判断しやすくなります。
- 公開後の対応範囲がどこまでかを確認してください。作って終わりなのか、公開後も相談できるのかで、後々の安心感が大きく変わります。
- 見積もりの根拠(ページ数、機能、更新のしやすさ)を、金額の内訳として説明してもらえるかどうかも確認しておくと安心です。
まとめ
ホームページを持つこと自体は、今の時代それほど珍しい選択ではありません。むしろ大事なのは、公開した後にどう扱うかという部分だと感じています。冒頭の相談のように、作ったきり誰も触っていない状態になると、届いていたはずの引き合いに気づけなかったり、取引先からの信用を損なったりと、目に見えにくい形で機会を失っていることがあります。
今すぐできることとして、まずはご自身の会社名でインターネット検索をしてみてください。何が表示されるか、電話番号や住所が今の情報と合っているかを確認するだけでも、次に何をすべきかが見えてきます。もし気になる点が見つかったら、そのメモを持って一度ご相談ください。作り直すべきか、部分的な修正で済むか、現状を見ながら一緒に考えます。

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